HORIZONTAL EXCHANGE(水平交流)

※水平交流とは何でしょう?3つの簡単な説明をしましょう。
※貧困者自身の水平交流がアジア・アフリカでどのように広がっていっているか、またその内容を詳しく知りたい方は
→ココ。


1:スラムや不法占拠地域での貧困住民にとって

 これまで、どの大学の専門家も、貧しい人々を訪れて、彼らに家を建てたり、仕事を見つけることなど教えてこなかった。誰もそれらのための訓練をさせなかった。しかしながら、私たち(貧しい人々)は、皆この知識を持っている。もし私たちが人から受けるトレーニングに頼るのなら、何も獲得しないだろう。しかしもし、同じく貧しい誰かが何かをするのを見たら、私たちは、それを手本とし、見習うことができる。

 私たちにとって、お互いに学びあうことの他に、トレーニングの方法はないのだ。もしあなた(やはり貧しい人々を指している)が、どこかの場所へ行き、自分がした事として他の人に話すなら、」彼らはあなたたちから学ぶでしょう。どのように来たか、どのように生き残るか、どのように家を見つけるのか、どのようにしていろろな都市の貧困者たちが互いに理解し合い、発展していくのかを。

2:貧困者自身の発展(development)とは

  貧しい人々が他の土地で生活する別の貧しい人々を、自分たちと同じ仲間だと感じて、訪れることの様々な活動を描写するのに、水平交流という用語を使う。ある1つのコミュニティ−の指導者達は顔を合わせ、話し合い、他の土地の人々が行っていることを見て、そのコミュニティ−の人々の生活や状況を知ることになる。そして、それによっていろいろなコミュニティーの指導者達は、自分たちのコミュニティーを、よりよくしていこうと切磋琢磨し、学びあいながら、役に立ちそうだと思う全てのアイディアを取り入れることが可能になる。お互いに教えたり学んだりすることが当たり前のこととなり(お互いに学びあうという文化ができていく)、ほとんど自治的なものに変わっていく。異なったコミュニティーがおなじ考えや取組みを共有することは、彼ら自身の自信となり、彼らが大切にしている価値を強めることになる。また、次第に遠く離れたコミュニティーとの水平交流が行われるようになると、その効果はより一層であり、国を超えた広く強い信頼関係と連帯性を構築するのだ。水平交流というのは貧しい人々の貧しい人々による教育や行動のための基本的な戦略なのだ。

3:中国の知恵文学からの話

湖というのは徐々に蒸発し、やがては干からびるものである。しかし、2つの湖がひとつになればそれほど簡単に干からびることはない。なぜなら、そのうちのひとつの湖がもう一方の湖に水を与えるからである。同様にして田舎にでは知恵が受け継がれている。知恵は何か新たしいものをもたらすものでなければならない。そして知恵というのは人々の間で話し合われ、実生活に活かされることによってのみ受け継がれるものなのである。このようにして、多面的なものを学び、明晰なものを得るのである。

追記:私たち日本人にとって

私たち(日本人)は、一般に途上国の貧困者に対して、何かを教えたり、やらせたり、プロジェクトを持っていくと言ったような関わりだけを考えがちである。しかし、実はこれでは、変化はその地域だけにとどまり、自発的な広がりをもたらさない傾向にある。それに対して、水平交流では、外部者(海外の援助団体や企業、国内行政等)が何かを教えたり、やらせたり、プロジェクトを持ってくるのではなく、住民自身のやっていることが、住民どうしの経験交流によって自発的に広がっていく。そしてその経験交流の広がりは、単に一国内にとどまることなく、例えば、カンボジアとタイ、タイとインド、インドと南アフリカ、ジンバブエなどなど、貧困者自身の国際的グローバルなネットワーク構築に及びつつある。


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