2000.1.11

アジアの都市インフォーマルセクターの現状とその可能性V


D都市インフォーマルセクターでの小規模事業発展に際する困難点

  1. 土地・住居・仕事(へのアクセス)
  2. クレジット(へのアクセス)
  3. マーケット(へのアクセス)

Eアジアの都市インフォーマルセクターの人々の自立的発展のための面白い試みT (@主に土地・住居へのアクセスに関して)。

※生き延びるための創意工夫(オータナティブな発展の可能性)、特にコミュニティーを 基盤としたいろいろな試み

E-A:スラム・コミュニティーの組織化

(参考文献)ホルヘ・アンソレーナ、伊従直子 (1992), 『スラムの環境・開発・生活誌』明石書店

●1970年代にアジアでスクオッターに対する強制撤去が頻繁に行われるようになった。

●1970年PECCO(Philippine Ecumenical Committee for Community Organizer)

●1971年ACPO(Asian Committee for Peoplie's Organization)アジア住民組織委員会。

→アジア各国にコミュニティー・オアーガナイザーの訓練機関を創設するためのもの。

●結局各国にコミュニティーオーガナイザーの訓練機関が設立→多数の住民組織。

●各国のコミュニティーオーガナイザーの組織または訓練機関

<フィリピン>
 PECCO:1970→COPE(Community Organization of the Philippine Enterprise)1977

<香港>
 SOCO(Society of Community Organizations)1971

<インド>
 CISRS→1985年までに約70人のコミュニティーオーガナイザーを養成してインド各地の 大きなスラムに入りこむ。

<タイ>
POP(People's Organization for Particitation)1986

●多数の住民組織

<フィリピン>
 ZOTO(Zone One Tondo Organization)30万人、SAMASAMA(一緒にという意味)、DAMPA
 ※スラムコ・ミュニティーの連合体。団結して強制立退きに抵抗(注意:土地所有が日本 ほどはっきりしていない。フィリピンの国内法では、1992年以前から住んでいれば居住権 があると明記。最近は、投機的立退き(空き地のまま)も多い。)

<インド>
 PROUD(People's Responsible Organization of United Dharavi)1979
 ※アジア最大のスラムであるボンベイのダラビの組織化(約100万人、現在は80万人程度)。
 POWER(People's Organization Wadala for Equality and Rights)1986
 ※ボンベイのワダラ地区(約40万人程度のスラム地区)の組織化。
 →PROUD, POWERでは、組織化及び連帯行動の結果、1993年以降、スラム住民の強制排除は 行われていない。
 →さらに、1992年以降、Slum Rehabilitation Programを州政府とPROUD等が協力して実行。 これは、州政府がダラビ内を部分的に高層アパートに再開発し、上層階を富裕層に高く売り、 その利ざやを利用して現住スラム住民を『ただで』入居させるもの。
 →現在のボンベイでの強制排除の危機に面している人々は、線路脇のスラムに住んでいる人々 (約15万人)、路上生活者(約20万人)、国立自然動物公園内(約40万人)に住んでいる人々。 (ちなみにボンベイ総人口一千万人中のスラム地区住民は約600万人)

●インドネシア、韓国、マレーシア、ネパールでも同様。

●また各訓練機関は、ビルマ、スリランカ、パキスタン、バングラディッシュのコミュニティー オーガナイザーも養成。

※現在、運動やり方、方向性が変化してきている。
→対行政などの闘争に終始するのはなく、行政や国連等とある部分協力関係 (パートナーシップ)にありながら、また自立的な地平を 拓いて行く運動(共同体を基盤とした貯蓄・信用グループ が大きな力となっている)へ。
※ACPOからLOCOA(Leaders and Organizers of Community Organization in Asia)、 及びACHR(Asian Coalition for Housing Rights)
※日本は、アジアのこれらの運動の流れからほとんど隔離されており、貧困者の コミュニティーを基盤とした運動に関しては後進国(一部例外は部落地域での街 づくり)。←「70年代以降の日本の学生運動、労働運動のセクト化の流れの中で、 このような新しい運動は拒絶された」と当時の人々は言っている。2000年あたり からようやく日本の野宿者運動とこれらのアジアの居住運動が交流を始めたところ である。

E-B:フィリピンのコミュニティー抵当プログラム(Community Mortage Program:CMP)

E-C: Freedom to Build

E-D:タイの土地分有制度(Land Sharing)

→次回レジメ参照。

E-E:カラチ(パキスタン)のオランギ・パイロット・プロジェクト(OPP)の事例

以下の項目は要点のみであるが、詳しくはこちらにエッセイ(覚書程度)があるので読んでみてください。


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