People's based Alternative Economy & People's Process

現在のグローバル化の進展の中で、貧富の格差(国際間、国内、地域内)は一層拡大しつつあると言われます。このような流れに対するためには、政治・経済・社会の中での貧困者自身のスペース の拡大及びPeople's Process(住民の歩みを基盤としたプロセス)の発展の可能性を模索することが重要だと思います。 私自身は、具体的にアジア各国(特にタイ、パキスタン、インド、カンボジア)における貧困者自身のスペースを拡大するための様々な試み、People's Processの発展に興味を持っています。 People's Processの鍵は、主体性・共同性・創造性・ネットワーキングだと思います。 学生の皆さんにとってすぐに第三世界に行って、そのような調査をするのは難しいかもしれませんが、このような萌芽は何も貧困国に限らず日本などの先進国の中にも見出されます。 このゼミではグループ研究として、またゼミ論・卒論としてこのようなテーマに取り組むことも可能です。下にその例と関連資料を載せておきます。


1)地域通貨の試み

概説があるリンク

地域通貨って何?
→地域通貨の概説です。また全世界及び日本で地域通貨が使われているところへのリンクもあります。日本でももう40箇所くらいで始まってます。

エンデの遺言
→童話作家ミヒャエルエンデ自身がNHKも企画を持ち込んだ結果、エンデの死後作られた『エンデの遺言』の紹介です。

入門書

西部忠 (2002),『地域通貨を知ろう』岩波ブックレット No.576
→研究室にあります。

私がコンタクトのとることが出来る現場

earthdaymoney(渋谷)
→一番近い現場ではないでしょうか。上手くいっているかどうか私は知りませんけど。。。

カマ通貨(大阪・釜が崎)
→大阪にある日雇労働者・野宿者の街釜が崎における地域再生計画の一環として町全体で取り組んでいる試み。果たして野宿者・貧困者のスペースの拡大に繋がるのかその行く先が楽しみでもあり不安でもある試みです。他にはない斬新な取組み。お勧め。

2)フェアトレード

理論的には可能性はあるはずだけど、現実には広がっていないような気もする。どこに問題があるんだろう・・・

概説があるリンク

フェアートレード概説(People tree)
→この分野はあまり知らないのでフェアートレードの概説として適当なHPがどこにあるのかわかりません。とりあえずここを出しておきます。簡単な説明はあります。

入門書

「月刊オルタ2003年1月号(特集 フェアトレード 顔の見える民衆交易を)」アジア太平洋資料センター(PARC)出版
→研究室にあります。村井先生の対談もこの号にはあります。

マイケル・バラット・ブラウン著(青山薫・市橋秀夫訳) (1998), 『フェア・トレード―公正なる貿易を求めて』新評論
→これは研究室にありません。近いうちに購入しておこうとは思いますけど。。

私がコンタクトのとることが出来る現場

日本ネグロス・キャンペーン委員会/ オルター・トレード・ジャパン(ATJ)(東京)
→私の友人が事務局長をやってます。多分日本でのフェアトレードの老舗みたいなところです。
参考:民衆交易 by 村井&堀田

国際フェアートレードデイ
5月の第2土曜日は国際フェアトレードデイです。各地でいろんな催し物が行われます。

Equitable Marketing Association (EMA)
インド・カルカッタで、パンジャブ地方の協働組合運動と結びつきながら、先進国間(特にドイツ)とのフェアートレードに挑戦している Equitable Marketing Association (EMA)という組織を紹介することができます。EMAは特に本物のダージリンティーのフェアートレードを日本との間でも実現したいと望んでます。実際にやってみませんか。。

フェアトレードについて研究した学生
・ゼミ論でフェアートレードについて研究し、その研究のためにカナダへ留学された上智社会学科の卒業生をご紹介できます。
・卒論でフェアトレードについて研究した卒業生をご紹介できます。

3)貯蓄グループ

これについては、アジア・アフリカ等第三世界において非常にさかんです。 これらの実践については私自身の研究にも非常に密接に関わるので別にまとめていきたいと思います。 (とりあえず、関心のある方は、このHP上の「貧困に関すること」の中の 「アジアのスラム(都市インフォーマルセクター)の現状と可能性」(特にW)を参照ください)。 なお、アジアの現場に関してもご紹介の可能性はありますが、これについては、生涯を通してなんらかの意味で貧困者と関わり、社会を変えていく覚悟のある人だけに限らせていただきます。 なお、特に第三世界においてはマイクロクレジットよりは貯蓄グループの方が種々の理由(特に貧困者の主体性の観点から)で望ましいと私は考えています。日本国内では、市民バンクやら共助組合などの試みはありますが、 まだそんなに目立っているほどではありません。(明治時代などにはいっぱいあったけど・・・)。 しかし、今後貧富の格差が拡大するにつれて必要性は増大するものと思われます。

リンク

Asian Coalition for Housing Rights
→アジア・アフリカにおける貧困者のスペースの拡大、People's Processの発展の促進のためネットワーク組織。私も属しています。

楽しい組合(韓国・貧民銀行)
→第三世界でない韓国でも貧困者(特に野宿者)のためのマイクロクレジットが始まりました。ただしこのページは韓国語です。 読める人はどうぞ。もし希望があれば夏休み等にここを案内してくれる友人はいます。日本でもこのようなものが出来ていく必要性があると思います。

市民バンク(日本)
→日本でのマイクロクレジットの試みです。

未来バンク(日本)
→日本でのもう一つの試み。

4)労働者協同組合(ワーカーズコープ)運動

労働者協同組合とは、そこで働く組合員が、みんなで資金を出し合うことで、組織を共同で所有し、事業経営や組織運営に参加し、「よい仕事」や「仕事おこし」に携わる組織です。この「出資」「経営」「労働」の3つをみんなの参加でつくることを「協同労働」と呼んでいます。 こうした働き方を通じて、協同しながら自発性や主体性を高めあうこと、人と地域に役立つよい仕事を生み出し、人間らしく働き続ける職場と地域づくりをめざしています。おそらく今年中にこのための法律 が制定される予定の新たな、かつ現実的な試みです。なお昨年度のInternational Labour Organization (ILO)の総会では、インフォーマルセクター(インフォーマルエコノミー)、労働者協同組合運動のことが 大きな議題に揚げられ、(特に第三世界における)インフォーマルエコノミーがフォーマル化する過程において、既存の企業形態に統合されるのではなく、オルタネイティブとして(労働者)協同組合化の方向性が 指摘された。これは何も第三世界に限らず、先進国の貧困者にとっても重要な方向性だろう。

リンク

日本労働者協同組合連合会

協同総合研究所
→私がご紹介できる団体です。

参考

アジアにおける都市インフォーマル経済の可能性と問題、そして日本に視点を移して (by 下川)
→2002年度ILO総会において「ディーセント・ワークとインフォーマル経済に関する決議」がなされ、これを受けて2002年8月ILO東京支局で開かれた公開フォーラムが行われました。 その際、ILOのリン・リーン・リム・ジェンダー推進計画担当部長の報告へのコメント及びアジア・日本のコンテキストでの報告内容の要約です。 →労働者協同組合とPeople's Processにも触れてあります。上記協同総合研究所発行の『協同の発見』2002年9月第123号所収。

5)日本の野宿者運動におけるさまざまなネットワークづくりの試み

日本社会における貧困者のひとつとしてはまず最近急に増えてきた野宿者があげられるでしょう。彼らの中にPeopel's Processの鍵となる主体性、共同性、創造性の芽はありますが、まだ日本ではそれが大きな動きにはなっていないようです。また行政にしても支援団体にしても People's Processの発展への意識があるとは言い難いと思いますが、長期的には重要なことだと思います。ただし、様々なレベルでのネットワーキングの試みは行われはじめています。将来的にはこのようなネットワーキングがPeople's Processのプラットフォームとなる可能性は十分あると思います。
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