ミッションステートメント

この研究プロジェクトは、小・中・高等学校の中で哲学教育がもちうる多様な意義を明確化し、その知見に基づいて小・中・高等学校での哲学教育を推進するための具体的なプログラムを構築することを目的としています。

この研究プロジェクトでは具体的には次の四つの課題に取り組んでいます。



ユネスコ(1995年パリ会議「哲学にかんする宣言」)は、哲学教育に民主的社会における市民の育成という意義を認め、小・中・高等学校での哲学教育もそのなかに位置づけています。では、哲学教育はどのようにして市民性の涵養に資するのでしょうか?本研究プロジェクトでは、この点をさらに理論的に明確にすることを目標としています。

また、哲学教育にはそれ以外にも多様な意義があります。たとえば、思考・推論のプロセスを自覚的に思考する「反省的思考」、他者とともに対話を通じて思考する「協働的思考」といったものです。これらは、どの教科の学習にも必要とされる思考の技能ですし、それを涵養することによって、哲学教育は基礎学力の向上に貢献することができます。

まだ始まったばかりですが、日本国内においても小・中・高等学校での多彩な哲学教育の研究が行われ実践されています。それらの研究や実践を調査・研究し、それに携わる研究者と実践者が共同研究を行います。この共同研究によって、これまでの研究成果と実践経験とを共有し、さまざまな方法論を検討・吟味するとともに、日本の教育現場の特性や現状も含め考量していきます。

海外で実施されている小・中・高等学校での哲学教育の研究・実践にはすでに多くの蓄積があります。それを調査・研究することによって多くの知見を得ることができます。また、このプロジェクトから生まれた成果を積極的に発信することによって海外の研究者・実践者から批判と助言を得ることをも視野に入れて共同研究を行っていきます。

本研究が最終的な目標とするのは、小・中・高等学校での哲学教育のための具体的・実効的なプログラムを提示することです。上記(1)~(3)をもとに教育プログラムを作成し、それを教育現場で試行し、フィードバックを受けることによってより実効的なプログラムへと練成していきます。